2024 年 12月 7日 (土)
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1位獲得した日本の漫画アプリ…秘けつは読者の興味を惹きつけた「粘り強さ」

カカオピッコマコンテンツ本部長の熊澤森郎氏=カカオピッコマ(c)MONEYTODAY

「読者はウェブトゥーンやウェブ小説を見ながら、これがどの国の作家が書いた作品なのかあまり意識しない。たいてい韓国でヒットした作品なら日本でもヒットする」

韓国ネット大手カカオ傘下「カカオピッコマ」。昨年のデジタル漫画取引額は1000億円を超え、日本のアプリの売り上げ1位を占めた。アプリの合計ダウンロード数は約4500万件に達する。

日本のアプリ市場を制覇したカカオピッコマのすべてのコンテンツは、熊澤森郎コンテンツ本部長(常務取締役)の手を経る。IT(情報技術)業界で10年以上勤めてきた熊澤本部長は、カカオピッコマ設立1年後の2017年に入社した。当時、約70作品だったカカオピッコマのサービスは、現在16万本以上になっている。

「入社して間もなくCMを撮影するためテレビ局に行き、『漫画を見る時はピッコマ』というキャッチフレーズを掲げるつもりだった。でも、カカオピッコマの作品の中で、CMに出せるようなものは頭に浮かばなかった。それほど作品が不足していた」

それが今、漫画サービスで1位、市場全体の20%ほどを占めるまでになった。「漫画は、ウェブベースとアプリベースの2種類に分かれる。カカオピッコマはアプリベースの方が強く、こちらでは50%以上を占めているといわれる」。熊澤本部長はこう説明した。

カカオピッコマコンテンツ本部長の熊澤森郎氏=カカオピッコマ(c)MONEYTODAY

◇「粘り」

カカオピッコマに作品を掲載する時、人気のジャンルかどうか、よく売れるかどうか、などはあまり計算しないという。優先順位、期待感はあっても、まずは作品確保を優先する。

「さまざまなジャンルの作品が、まんべんなく人気を集めているというのが、カカオピッコマのトレンドだ」

熊澤本部長は、作品増加の最も大きな要因として「粘り」を挙げた。

「最初から一貫して、作品を回ごとに分けて見ることができる仕組みにこだわり、待てば、1日に1つずつ無料で読める『待ち受け』システムを導入した。最初は出版社で門前払いにされたが、今はほとんどのコンテンツプラットフォームがこの仕組みを適用している。感慨深い」

今の収益構造は背水の陣で作ったという。

「無料でコンテンツを提供して読者を増やした。広告収入を得ればもう少し簡単だったが、最初から広告は考えなかった。無料コンテンツに流入した読者が有料コンテンツを決済できるようにしようという信念を持って運営してきた」

カカオピッコマが急成長した背景には絶え間ない努力がある。根気よく作品を供給することも重要だが、効果的に運営することも重要だという。

「作品だけを追加して終わらせるのではない。読者の利用パターンを分析して読者と作品が出会えるようにしなければならない。作品の順序を変えたり、(米動画配信大手)ネットフリックス(Netflix)のようにカバー画面を入れ替えながら、読者の関心を引きつけなければならない」

◇面白ければ、どの国の読者にも人気

韓国の作品はカカオピッコマでも人気だ。

「今、最も人気のあるコンテンツは、最近ネットフリックスで映像化された『俺だけレベルアップな件』。また『ゴッド オブ ブラックフィールド』のような作品も人気が高く、異世界ファンタジー物や女性向けジャンル物も人気が高い」

伏線が複数に張り巡らされ、登場人物が多い日本の作品に比べ、韓国の作品は比較的気軽に楽しめ、親しみやすいため人気があるという。

結局、作品の「国籍」と関係なく、面白ければ、どの国の読者にも人気があるということだ。「最近、日本の読者も韓国のコンテンツをよく受け入れている。むしろ韓国文化に憧れる雰囲気があるほどだ。漫画的な側面から見れば、“横に見る漫画”なのか、“縦に見る漫画”なのか程度は区分できるだろう。でも、『国籍』による好みの違いはないようだ」

(c)MONEYTODAY

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