被害の回復が難しい詐欺被害者の不安な心理を逆手にとり「被害金を取り返してやる」と言って2次詐欺をする人もいる。
30代の会社員D氏は2021年9月に1億2000万ウォン余りの被害に遭った。D氏は金融詐欺の被害者が集まるサイトに被害を訴える文を載せた。D氏が書いた文章に2次詐欺犯の男性がコメントを付けた。
男性は「私の兄が警察官なのでよく知っているが、被害回復は難しい」とし「私はハッカーなのでカジノのホームページをハッキングし、入ってくる他の被害者のお金を取る。警察へ通報するよりこっちの方がましだ」と話した。
D氏の1次詐欺被害金1億2000万ウォンのうち、半分ほどが融資を受けた金だった。「財貨と用役を提供した」という点で、現行法上では貸し出しを受けた詐欺被害金に対する元金と利子は被害者が負担しなければならない。金利が上がって負担が大きくなったD氏は、男性に被害回復を頼んだ。
男性は1200万ウォンを要求した後、追加で900万ウォンをさらに入金するよう言った。D氏は追加融資を受けて900万ウォンを入金した翌日、男性の行動が詐欺だと気づいた。
D氏は直ちに警察に男性を通報した。警察の捜査は9カ月以上かかった。男性の詐欺行為については、全国に被害者が散らばっており、事件が併合されるのに時間がかかった。
ソウル中央地裁は昨年7月、詐欺と詐欺未遂など6つの罪で起訴された男性に懲役4年を言い渡した。男性は、コインサイト投資や為替レートマージン取引、株式リーディングルーム、ビットコインなどで投資詐欺に遭った被害者に接近し、金を取り返してやると言って2次詐欺をしていた。
男性は量刑を低くするために被害者に「100万ウォンをまず返すので告訴を取り下げてほしい」と求めた。D氏は「男性は普通に金を稼げない人だ。100万ウォンのためにまた別の詐欺を働くと思い、断った」と話した。
D氏は昨年12月、警察から1次被害に遭った詐欺の捜査が中止されたという通報を受けた。D氏が金を入金した通帳は6通だったが、口座名義人が全て詐欺の被害者であり、犯人を追跡する手がかりを見つけられなかったためだ。
警察庁によると、昨年時点で15万5715件のサイバー詐欺が発生。このうち10万9250件を検挙し、3万237人を逮捕または拘束した。
ボイスフィッシング捜査を専門とする警察署捜査官は「統計には偽通帳の提供者など全てが含まれている。実際には海外にいる犯人に接近する捜査手法は、事実上ない状態だ」と話した。
チャンさんは現在、オンラインプラットフォームで詐欺被害者を集めて集団訴訟を進めている。チャンさんは「金を取り返してやるという興信所やホワイトハッカーなどは、すべて詐欺だ」と注意喚起している。
(おわり)
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