「こんにちは。あなたに興味があります。これから仲良くしましょう」
先月、韓国のキムさんはインスタグラムで、知らない男性A氏からメッセージ1通を受け取った。「関心があるので、これから頻繁に連絡したい」という内容だった。
二人はチャットと電話で親交を深めた。A氏は海外を行き来しながら忙しく事業をしているとのことだった。
しかし、10日後に悪夢が訪れた。キムさんはA氏から1300万ウォン(1ウォン=約0.11円)ほどを奪われたのだ。相手に接近して親交を深め、お金を要求するいわゆる「ロマンス詐欺」だった。
A氏は、キムさんに対し、自分の業務を手伝ってほしいなどと接近し、大金を横取りしたという。
経過をたどりたい。キムさんによると、A氏は「海外出張中。事業の状況が思わしくない」といい、キムさんに簡単なショッピングモール業務を依頼してきた。A氏は「韓国に家族も知人もいないため、今すぐ頼む人がいない」と伝えた。
そして、キムさんに「ショッピングモール担当チーム長」を紹介した。
このチーム長はキムさんにショッピングモールサイトに加入するよう求め、ポイント20万ウォンをもとに注文リストの商品を代理で購入してほしいと要請した。物品を買えば、収益金がそれぞれ8~10%入るという触れ込みだった。ショッピングモールには、幼児用歯固め器をはじめ、化粧品、無線イヤホン、健康食品など、さまざまな商品があった。
業務を完了すると、チーム長は「ホームページにキムさんの口座番号を書いてくれれば、収益金5万ウォンを送る」と持ちかけてきた。当時、キムさんと連絡を取り合っていたA氏も「その金で、おいしい食べ物でも買って食べなさい」とし、収益金を受け取るよう促した。その後、キムさんの通帳には収益金5万ウォンが入ってきた。これがわなだった。
その後、チーム長から連絡があり、LINEアプリのグループチャットに入るよう指示があり、多くの関係者が入ってきた。
チーム長は「これからはチームによる購買が進められる」と紹介し、高額の物品購買を促した。最初の物品代金は50万6000ウォンだった。それまではポイントで対応すればよかったが、今度はキムさん個人のお金で先払いする必要があるという。キムさんは疑問に思い、A氏に相談すると「収益があるから大丈夫ではないか」として入金を促した。
50万ウォンを入金すると、その後は83万ウォン、189万ウォン、207万ウォン、443万ウォン……などと売買代金が上がっていった。キムさんは6万~10万ウォンずつ収益金を受け取ったが、元金はすべてのチーム購買が終わる前まで返してもらえないと言われた。
キムさんは「途中で放棄すれば、元金を全て失うのではないかと思い、途中で止めることができない構造になっていた」と振り返った。
結局、キムさんは収益金を差し引きして計1304万ウォンの被害を受けた。ホームページのポイント内訳に1514万ウォンがあり、出金申請をしたが、連絡はなかった。
チーム長は所得税15%を追加で入金すれば返すと言ってきたが、その後、A氏とともに連絡が取れなくなった。全羅南道光陽警察署は、キムさんから告訴を受け、捜査中だ。
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