韓国大邱(テグ)のある住宅で2023年10月、60代の父親が1級脳病変障害を患っていた30代の息子を凶器で刺して殺害した。通っていた職場を辞めて、自分では活動が不可能な息子を40年間世話した父親は、犯行前に周りの人々に「とても疲れた」とよく言っていたと伝えられた。
2022年3月には大邱で、20代の息子が脳卒中で体の不自由な50代の父親に水と食べ物、処方薬を与えず死亡させた。この息子は経済的に厳しい状況に置かれたため、これ以上父親の面倒を見ることができないと判断し、一人で行動できない父親を放置したことが明らかになった。
保健福祉省によると、長い介護生活に疲れ、親や配偶者、子どもを殺害するいわゆる「介護殺人」についての具体的な発生件数は集計されていない。しかし、このような悲し話はメディアに報道されたものよりはるかに多いものと推定している。
ある障害者の家族は「社会で世話ストレスを減らすなど障害者家族が体感できる制度が必要だ」と指摘している。
障害者の娘を持つA氏は「仕事に出る平日の昼間には、活動支援士が娘の面倒を見てくれるが、平日の夕方と週末には私一人ですべてこなさなければならない。数十年間ケアストレスを受ける家族の苦痛がどれほど大きいか想像もできないだろう」と話した。
身体的・精神的障害で一人で日常生活ができない場合、障害者活動支援士が家庭に派遣され身体と家事活動を支援する。大邱では6000人余りが活動中だと知られた。
昨年、大邱に登録された障害者12万7611人のうち、重度の障害者は4万6310人だ。活動支援士1人が重度の障害者7.7人のケアをすることになる。
活動支援士が自治体に申請すれば、審査を経て1カ月程度で支援を受けられる時間が最小60時間から最大480時間までの区間が決まる。
障害者家族は「夕方の時間帯に活動支援士が必要だが、勤務する人がいなくてマッチングができない場合がしばしばある」「活動支援士の大部分が女性なので性別バランスが必要だ」と訴えた。
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