ソウル・梨泰院(イテウォン)雑踏事故で、現場に遭遇した人のほとんどが挟まれた状態で救助を待っていたという。間一髪で救助された人も少なくないようだ。
事故に巻き込まれたチャンさん(21)は「友人と一緒に梨泰院に行き、路地の一番下で下敷きになった。でも運良く、上半身が抜け出すことができて、友人とともに生き残った」という。
チャンさんによると、坂の上から次々と人が倒れてきた。抜け出すことができず、かろうじて息ができたそうだ。
午後11時過ぎに救助された。そのころ、すでに周辺では多くの人が意識を失っていた。「私が気を失いそうになると、周辺の市民が水をかけて励ましてくれた。命が助かったことには感謝するが、たくさんの方が犠牲になったことを考えると、胸が痛い」
チョさん(32)は友人3人とともに梨泰院を訪れ、人波で閉じ込められた。「4人が一緒に挟まれた状態で1時間以上いた。私は足の指の感覚がなくなって神経が麻痺しているような感じだった」
友人の1人が、亡くなって動かなくなった人の下敷きになっていたので、隙間を使って引っ張り出した。友人の中には気絶する人もいた。意識がもうろうとする友人には「もう少しの我慢だ。救助隊が来る」と言って、励ました。
現地の龍山警察署は先月31日から6日午後6時まで、ソウル市龍山区の多目的室内体育館に事故関連の遺失物センターを開設している。
そこを訪れる人たちは、おおむね事故に遭遇した人たちやその家族だ。
腕にギプスをしたままセンターを訪れた女性は、事故当時の様子を次のように振り返った。
「人の間に挟まり、死ぬかと思うほど息が詰まったが、横で外国の人が何かを叫んでくれ、それで持ちこたえた。一人ずつ(人が)引っ張り出されて、息ができるようになり、救助された。腕にあざができ、指を怪我した」
センターを訪れたベトナム国籍の女性(22)は「人が多く、押され続け、息ができなかった。息が荒くなった時、私の手を握ってくれた人がいる。助けてくれた人のことは、忘れられないと思う」と話した。
センター関係者によると、1日の時点でカバン121個、服258着、靴256足、片方だけの靴64足、電子製品など154個などが保管されているそうだ。
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