2024 年 12月 27日 (金)
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「日本風居酒屋」に行ったらフェミニスト?…韓国の五輪選手の「売国奴」発言、おかしな波紋 [韓国記者コラム]

東京五輪アーチェリー3冠王のアン・サン選手(c)news1

東京オリンピックアーチェリー3冠王のアン・サン(23)選手が最近、国内にある日本風居酒屋をめぐって「売国奴」という表現を使い、議論を呼んだ。その後、アン・サンの謝罪文で一段落したが、今は本質とかけ離れた男女間の対決構図に騒ぎが拡大している。

アン選手は3月16日、自身のインスタグラムに「国際線出発(日本行き)」と書かれた写真をアップし、「韓国に売国奴がなぜこんなに多いのか」という文章を書いた。この電光掲示板は光州(クァンジュ)にある日本風居酒屋の内部で、系列のお店もほとんど実際に日本に来たような「日本旅行」コンセプトで運営されている外食チェーン店だ。現在、その書き込みは削除されたが、複数のオンラインコミュニティに瞬時に広まった。

その後、このブランドの代表は「一瞬にして親日派の子孫として売国ブランドになった」と批判し、同月19日に名誉毀損の疑いでアン選手を告訴した。結局、アン選手が謝罪文を載せたが、議論は簡単には収まらない。

アン選手も「公人としての本分を忘れ、何気なくアップした掲示物。生業で孤軍奮闘するすべての方々が受けた被害と心の傷は私が推し量ることができなかった」と謝罪したものの、発言自体が不適切だったという点は誰も否定できない。

しかし問題は、日本風の居酒屋で始まった論争が、長年のフェミニスト論争など本質とは関係のない葛藤に広がっているという点だ。男女の葛藤が深まるなど、不毛な論争に飛び火しているという懸念が少なくない。

ついにある大学コミュニティにはこの飲食店に女性たちを連れて行って思想検証をするという文章がアップされたりもした。X(旧ツイッター)には「思想検証リスト追加」「ここに行こうと言ったが、嫌だと言えばどんな人か分かるだろう?」などのコメントが付いた。この飲食店の不買に参加するかどうかが「フェミニストかどうかを鑑別するリトマス紙」になった。

本質と関係のない女性嫌悪が再現されるのではないかという懸念も出ている。過去、アン・サン選手のショートカットヘアスタイルと女子大(光州女子大)に在学中だという事実をめぐってフェミニスト論争が起きたのと同じ脈絡だ。

昌原(チャンウォン)大学哲学科教授は「実は今回の騒ぎは女性問題と全く関係がなく、思想検証をするという意図と見られる。男性があたかも審判官の立場で何が許され、だめなのかを判断して烙印を押そうとする試み」と指摘した。

このように男女葛藤を煽るような主張が大衆の疲労感を誘発するだけで、問題の本質を曇らせるという点も問題だ。20代会社員は「騒ぎになった当初、最近増えている日本語看板の店について考えるべきだという問題だったが、またジェンダー問題に広がった。ジェンダーの話が出てくる度に口をつぐんでしまう」と打ち明けた。

国会立法調査処のホ・ミンスク立法調査官は「無分別な思想検証は少子化など女性と関連した社会的問題解決にも全く役に立たない。無差別な嫌悪、差別表現に対してこれを受け入れないという雰囲気を作っていくと同時に、法的な土台を用意する努力も必要だ」と指摘した。【news1 ホン・ユジン記者】

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