
約2カ月間姿を見せなかった北朝鮮のチョ・ヨンウォン(趙甬元)朝鮮労働党書記が、27日付の北朝鮮メディアに登場した。チョ・ヨンウォン氏は3月1日に地方工業工場の竣工式に参加したのを最後に一切の公の場から姿を消していたが、今回、地方工業製品品評会の写真に姿を見せた。写真には、チョ・ヨンウォン氏が関係者に何か指示する様子が写っている。
チョ・ヨンウォン氏はキム・ジョンウン(金正恩)総書記の「影の側近」として知られ、極めて近い関係を築いてきた。しかし、この2カ月間、キム総書記の各種公開活動(和盛地区建設地視察、ミサイル発射行事、ロシア国家安全保障会議書記の接見など)には同席していなかった。また、国家的な祝日「太陽節」(4月15日)関連行事にも姿を見せず、一部では失脚や粛清の可能性が取り沙汰されていた。
北朝鮮では、処分や粛清を受けた高官が公務から排除され、公式メディアに登場しなくなるケースが多い。今回の登場は、重い処分ではなく軽い処分(謹慎など)を受けていた可能性を示唆するものとみられる。
ある北朝鮮・安全保障専門家は「高官が党から処分を受けた場合、通常の公式行事への参加が制限される。職務変更がある場合はメディアにも登場しなくなる。しかし今回、チョ・ヨンウォン氏が公式行事に登場したことから、職務は維持しつつ、党内処分を受けたと考えられる」と説明した。
さらに、チョ・ヨンウォン氏はまだ謹慎期間中の可能性があるものの、公式行事に登場している点から、権力基盤や立場が依然として保たれているとの見方もある。来月13日に発行予定の新しい北朝鮮の切手デザインにも、キム総書記と共に写ったチョ・ヨンウォン氏の写真が使用されていることや、朝鮮中央テレビで過去の映像が放映されたことも、こうした見方を裏付ける材料となっている。
この専門家は「党規律違反による処分期間は通常3カ月から6カ月。今回の登場は、地方発展政策を担当する責任者としての役割があったため」と推測している。
一方、チョ・ヨンウォン氏が今後、キム総書記のすぐ側でメモを取るなど、これまでの役割を再び担うのかに注目すべきだとの指摘もある。国家戦略研究院のソン・ギヨン上級研究委員は「チョ・ヨンウォン氏は中央推進委員会の委員長という役職もあるが、最も重要なのは党組織部門の書記であることだ。今後、北朝鮮メディアに再登場する際、その立場が回復しているかを注視すべきだ」と述べた。
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