2024 年 5月 23日 (木)
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「助けてください」悲鳴に満ちた梨泰院の路地…目の前で3人死亡した

  現場ルポ  

29日午後4時ごろ。家族連れで梨泰院を訪れた市民たちが祭りを楽しんでいる©MONEYTODAY

ソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)の路上で起きた雑踏事故は、3年ぶりに再開されたハロウィーンのイベントで盛り上がるなかで起きた。このイベントを取材するため現地にいたMONEYTODAYのキム・ドヨプ、ハ・スミンの両記者が当時の様子を振り返った。

「梨泰院、梨泰院駅です」。こうアナウンスされると、静かだった地下鉄の車内のあちこちで楽しそうな声が聞こえてきた。

29日午後4時ごろ、梨泰院駅に到着すると、座っていた人たちがどっと立ち上がり、列車が揺れ動いたように思えた。梨泰院駅で降りたのは、400~500人か。列車からあふれ出るように、人波が改札口を目指した。

エスカレーターの列には多くの人が立っており、階段を利用したほうが早く出られた。主要商圏に近い1、2番出口の階段は既に、祭りを楽しもうとする人でいっぱいだった。

梨泰院通りはジャズが流れ、活気に満ちていた。人が集まって少し込み合っていたが、移動するのに困難な状況ではなかった。

この人々の興奮の声が、その後、「助けてくれ」という悲鳴に変わった。

29日夜、梨泰院駅一帯で道路が歩道として使われている©MONEYTODAY

午後6時ごろ、記者が市民にインタビューしている間に、梨泰院の混雑度はみるみる高まっていった。

事故現場を含む梨泰院通りを150メートル移動するのに7~8分かかった。特に事故が起きた路地付近では「自分の足で歩く」のではなく「他人の背中に押されて」移動しなければならなかった。

梨泰院通りは、メーン道路である梨泰院路を除けば、幅が4~5メートル程度。狭い路地に向かい合って食堂やクラブなどがぎっしりと立ち並んでいる。ハロウィンのため、梨泰院のクラブなどでは、店の入り口近くに鉄製のフェンスを立てており、幅がさらに1メートルは狭くなっていた。

「右側通行」という概念は徐々になくなった。

日が暮れてからは、梨泰院駅入り口付近から数百人が梨泰院通りに向かった。音楽も、ジャズから、強烈なヒップホップになり、狂騒を煽った。路地に座板を広げて顔に絵を描く人々、ハロウィン小物を売る商人ら、その間で伝道する宗教家、通りすがりの市民……。雑然としていた。

このころ、100メートルを歩くのに10分もかかった。人々はこうした状況を気にせず、ハロウィンを楽しんでいた。耳を叩く音楽に合わせて歓声を上げ、動きにくい人波の中でも体を揺らした。

午後8時ごろ、梨泰院通りは「これ以上歩けない」レベルになった。「これは危険ではないか」という思いが頭の中をよぎった。

事故が起きた現場は、狭い路地の下り坂で、数千人が集まっていた。スマートフォンを握って片手を高く上げた市民が多く、危険だった。「ポン」と押されれば、次々に倒れるような状況だった。

この瞬間まで梨泰院の街には、秩序を統制する警察や区役所の関係者はいなかった。警察は違法撮影、麻薬などの犯罪を取り締まることに焦点を当てていた。

29日夜、事故現場で負傷者らが救助されている©MONEYTODAY

夜になると、歩道と道路の区分がなくなった。人々はあふれ出て、往復4車線道路の両端の車線が、事実上、歩道になってしまった。あまりにも多くの人波に警察の交通規制も効果がなくなっていた。一部の市民が地下鉄の換気口に上がる危険な状況にもなっていた。

午後10時ごろ、狭い路地から悲鳴が上がった。直ちに声の方向に急行した。

そこに到着すると、100~200人近い人々が一度に数十に重なり「助けてください」「とても痛いです」と悲鳴を上げていた。一番下にいた市民の中には意識がない人もいた。

その間、警察と消防が総動員され、救助に乗り出す。あまりにも狭い空間で、多くの人たちが密集し、体が絡まり、救助が難航する。酸素が不足している人のために、消防関係者が現場に医療用酸素をまいている。救助が始まって30分ほど経つと、担架が上下し、人々が運ばれていった。

事件現場は凄惨だった。

多くが流血し、悲鳴が止まらなかった。

消防が救助された人たちを数メートル移動させて寝かせた後、心肺蘇生(CPR)を施し、酸素呼吸器を使った措置を続けた。しかし、一度にあまりにも多くの犠牲者が出たため、消防当局は息のある人を優先に病院に搬送した。手のつけようのない人たちは毛布をかぶせていた。

記者が見ている前で、3人が亡くなった。

事故のニュースはSNSとメディアを通じて急速に広がった。「一部の人が麻薬を使って街を歩いていて、絡まって事故が発生した」というデマも流れていた。

©MONEYTODAY

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