2024 年 5月 23日 (木)
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「働いた分だけ賃金」原則を逸脱 [KWレポート] サービス残業の世界 (3)

ソウル・光化門のあるビルで夜勤をする会社員(c)news1

「サービス残業」騒動の核心としてやり玉に挙げられる包括賃金制は法にない制度であり、労働基準法上の「働いた分だけ賃金を支給する」という原則を逸脱している。決まった勤務時間の他に何時間さらに働いたかに関係なく、あらかじめ定められた超過勤務手当を基本賃金と一緒に支給する方法だ。

法にない制度が産業現場の随所で半世紀以上、公然と使われている根拠は、1970年代から包括賃金制を企業の慣行として認めた判例だ。経済が成長を続け「過労社会」という見慣れない雰囲気の中で、超過勤務を事実上容認する判決がたびたび言い渡されてきた。

◇判事ごとに異なる判決

1980~90年代、「諸般の事情に照らして正当ならば」という語句の判決が、包括賃金制を後押しした。「耳にかければイヤリング、鼻にかければ鼻輪」式解釈であり、判事ごとに異なる判決が、包括賃金制を拡散させた。

2010年前後、低賃金長時間労働が社会問題として浮上し、基準作りが始まった。

労働時間を算定するのが難しかったり労働時間帯が一般的でなかったりする特殊な職種を中心に▽労使合意により▽労働基準法が定めた規制に違反しない範囲で包括賃金制を適用しなければならない――という基準ができた。

◇労使間の黙示的合意

包括賃金制の成立条件を「労働時間算定が不可能な場合」に限定した最高裁判決は、2010年5月に初めて出た。

ある大学の警備員が包括賃金制に反発し、学校を相手取って訴訟を起こした。この時、最高裁は「監視業務のように労働時間の算定が難しい場合でなければ、包括賃金制方式の賃金支給契約は許されない」と判断した。下級審も概して、この法理に従うようになった。

2017年6月には、鉱山労働者7人が「包括賃金方式の賃金支給が無効だ」として延長・休日手当などを会社側に請求した訴訟で、ソウル中央地裁民事部は「『労働時間の算定が難しい場合に該当する』とは考えられない」として、労働者側の勝訴を言い渡した。

2016年には「包括賃金制で算定された賃金を受け取った」という事実だけで「労使間の黙示的合意がある」と認めた判例が、ひっくり返されている。最高裁は同年10月、「使用者と会社の間に包括賃金制に対する合意があったと客観的に認められる場合にのみ、包括賃金制を許容する」という判断を下している。

(つづく)

(c)MONEYTODAY

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