2024 年 12月 9日 (月)
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「代替教師はどこにいるのですか」…感染しても授業、教育現場が混乱

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新学期初日の今月2日、ある中学校で、学生たちに新型コロナウイルス検査について説明する教師©NEWSIS

韓国で「代替教師」をめぐる政策が混乱している。「代替教師」は今学期初めに急増した教師の新型コロナウイルスの感染に対応するため教育省が取った措置だ。ただ、当局の意図に現場の対応が追いついていない。

◇自宅から授業

教育関係者が明らかにしたところによると、教育省は「期間制の教員」採用・講師人材プールの設置など、教師の空白対策を設けたという立場だ。しかし、学校の現場では教師が代替人材を確保できず、感染の判定を受けた後も遠隔授業に臨むなど、隔たりが大きいという。

ソウルのある中学校の国語教師ユさんは、先月25日にコロナと診断された。だが、代替人員の確保が難しく、今月3~4日、遠隔授業を実施した。

「在宅治療中、喉の具合が良くない状況でも授業をするしかなかった。声を出すのも大変だった」。ユさんはこう振り返る。

仁川(インチョン)にある中学校の国語教師パクさん。先月28日、感染の判定を受けながらも、遠隔授業を余儀なくされた。パクさんに続き、感染が確認された同僚教師3人もまた、自宅から授業を続けているという。

◇人材確保難しく

感染力の強い変異型「オミクロン型」流行で、始業前後に感染が確認された教師が増えている。教育省は今月3日、代替人材支援案を提出。生徒数が多く、密になりやすい学校を中心に「期間制の教員」8900人を追加配置。人材が急に必要になる事態に備え、各市道教育庁に7万5000人規模の期間制の教員・講師人材プールを設けると明らかにした。

だが現場は厳しい反応を示す。

「いくら多くの人材がプールされていても、実質的に空白となった教員の代わりになれる人は、なかなか確保できない」

すでに組まれたタイムテーブルに合わせて短期間だけ働く人材を確保するのは難しく、求人業務にかかる行政の負担も大きい。

国語教師パクさんはこう指摘する。

「週20時間前後の授業時間数が、さまざまな曜日と時間帯に散らばっている。そのため人材プールで勤務条件の合う教師を見つけるのは容易ではない。5日間で20時間働いてくれる人がいるだろうか。感染当時、5人ほどに連絡してみたが、条件が合わず、すべて断られた」

韓国教員団体総連合会のイ・ジェゴン政策本部長はこう問題点を指摘する。

「教師の業務は、単純な知識伝達だけではなく、教育者としての使命感と、生徒とのラポール(rapport:親密な人間関係)形成が前提だ。子供たちから見ると、知らない人が突然現れ、塾のように授業だけをしていなくなってしまう、ということになる。生徒との交感のような教育的関係・会話は望めない」

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