2026 年 4月 4日 (土)
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「ロボットにぶつかられたら誰が責任?」ヒューマノイド導入のリアルな壁 [韓国記者コラム]

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韓国・現代自動車グループが、世界最大のテクノロジーの見本市「CES」で次世代ヒューマノイドロボット「アトラス」を公開して米国工場への導入計画を示したことで、労使や産業界に波紋が広がっている。生産性向上や人件費削減への期待がある一方、雇用代替や新たな労災リスクへの懸念も根強い。

専門家は、実際の現場投入には技術的完成度だけでなく、安全規制、工程再設計、通信・電力インフラなど多層的条件の整備が不可欠だと指摘する。

◆協働型ロボット、責任は誰が負うのか

ヒューマノイド導入は大きく「人と共に働く協働型」と「無人化工場型」に分かれる。協働型では、人の突発的な動きにリアルタイムで対応する高度な制御技術が求められる。

現在の国際安全規格ISO 10218やISO/TS 15066は、従来のロボットアームや自動化設備を前提としており、人間に近い形状と自由度を持つヒューマノイドには十分適合しないとの声がある。

AI搭載ヒューマノイドは自律判断を伴うため、従来以上の安全検証が必要だ。米国のAgility Roboticsは、試験運用で人とロボットを柵で分離したり、接近時に自動停止する安全センサーを活用している。

問題は事故時の責任所在である。外部メーカー製ロボットの欠陥や誤作動で事故が起きた場合、製造物責任と事業主の安全配慮義務が重なり、責任範囲が曖昧になりかねない。こうした不確実性が解消されなければ、大規模導入は容易ではない。

◆ロボット本体より重いインフラ負担

ヒューマノイドは人間に近い形状ゆえ既存環境に適応しやすいが、同等の器用さや反応速度を実現するには多数のセンサーや高度な制御ソフトが必要で、設備費や保守費が膨らむ。

現実的には、人間の作業をそのまま代替するのではなく、工程を細分化しロボット中心に再設計する方式が有力とされる。その過程で安全設備、通信網、電力・充電インフラの整備費も発生する。

調査会社のガートナーは「2028年までにサプライチェーンや製造分野でヒューマノイドを大規模投入する企業は20社未満」と予測し、既存システムとの互換性が依然として課題だと分析する。

中国のシャオミは無人スマートフォン工場に5G通信網を導入した。将来的なヒューマノイド工場でも超低遅延・広帯域通信が前提になるとみられる。

◆3~5年は「社会的議論の窓」

専門家は、技術・制度・経済面の障壁解消には少なくとも3~5年かかるとみる。コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーは▽人と柵なしで安全に共存する仕組み▽安定稼働▽高度な器用さと機動性▽抜本的コスト削減――を先行課題に挙げる。

この期間は企業にとって技術成熟を待つ時間であると同時に、社会にとっては制度設計を整える機会でもある。労使合意の枠組み、労災責任の分担、再教育体制、新たな産業構造の設計など、多方面の議論が求められる。

国際労働機関(ILO)は報告書で「世界の労働者4人に1人が生成AIに一部影響を受ける職種に就いているが、多くの仕事は消滅するより変化する」と指摘。社会的対話を通じて移行を管理すれば、労働環境と生産性を同時に高められると提言している。【news1 キム・スンジュン記者】

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