◇商品企画者がいない
韓国ネット大手ネイバーが「ファッションタウン」の強みとして挙げるのが、「クローバ(Clova)MD」という機能だ。人工知能(AI)が、顧客が何を買おうとしているのかを把握し、商品を展示して推薦するという仕組みだ。
ネイバーにログインすれば、顧客が求める商品や検索語、年齢、性別などを基準にファッション商品を推薦する。「消費者の関心事と好みを分析し、それに適した商品を提示できる」(ネイバー関係者)という。
だが、商品を調達し、ブランドと企画展を調整し、ファッションプラットフォームで最も大きな役割を果たすMD(商品企画者)がいないファッションプラットフォームに、業界は懐疑的だ。
ファッションブランドがどのプラットフォームに出品するか。それを選ぶ際の基準は、MDの腕前だ。MDが企画展やルックブック(コーディネートを紹介する“動画版カタログ”)などを通じてブランドをどれだけ引き立たせてくれるか――これにかかっている。
◇「ネイバーの競争力が怖い」
ところが「ファッションタウン」には、この点で致命的な弱点があるということだ。
ある大手ブランド関係者は「販売チャンネルが増えるのは良いことだ。だが、自社ブランドが“展示された数多くのブランドのうちの一つ”になるようでは、ブランド力がむしろ落ちる」と危惧している。
ファッションリーダーの女性たちは、推薦されるものより、自身の選択を重視するという点もネックだ。
「ファッションプラットフォームが成功するためには、他社とはひと味違う、新鮮な商品を提示する必要がある」(別のブランド関係者)という指摘もある。ファッションプラットフォームが最近、ブランド側に独自の商品や先行販売などを求めるのも、この理由からだ。
一方、「ファッションタウン」には、ネイバーのライブコマース、ペイと結合できるという利点がある。マスティージ(手ごろな値段でありながら高級感のあるブランド品)の顧客を抱き込むことができる可能性がある。
ネイバーのショッピングライブは今年9月の累積取引額が1兆ウォン(約1042億円)以上、累積で15億ビュー以上を記録している。また、ネイバーペイ割引を通じて消費者を誘引すれば、価格に敏感な消費者を引き付ける効果を出すことができるとも考えられる。
ファッション業界関係者は次のように展望する。
「ファッションタウンそのものより、ネイバーが持つ競争力のほうが怖い。来年は消費心理も落ち込むようなので、ファッションプラットフォームの競争もいっそう激しくなるだろう」
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