
韓国エアプサン機で発生した火災事故を受け、国土交通省が導入した「モバイルバッテリーのビニール袋収納義務」に対し、実効性に乏しいとの批判が強まっている。これを受け、同省は6月中に改善案を発表する方針を明らかにした。
金海(キメ)空港で今年1月発生したエアプサン機の火災事故では、国立科学捜査研究院がモバイルバッテリーの内部短絡が出火原因の可能性を指摘。これを受け、政府は3月からモバイルバッテリーや電子タバコを機内に持ち込む際、ビニール袋または保護ポーチに入れるよう義務付け、保安検査場でビニール袋を配布する措置を開始した。
しかし現場では「ビニール袋に入れるだけでは内部短絡を防げず、火災予防の実効性に欠ける」との指摘が相次いでいる。実際、検査後すぐに袋を捨てる乗客も多く、実態に即していないとの批判も強い。
さらに、ほとんどのリチウムイオンバッテリーには外部短絡を防ぐ構造が施されており、追加の包装は不要とする意見もある。専門家の中には「最も危険な内部短絡はビニール袋では防げない」との声もある。
業界や専門家からは、この政策は「見せかけの行政」に過ぎないとの非難も強まっている。検査場の混雑、年間4億ウォンに上るビニール袋配布費用、そして環境汚染といった副作用ばかりが拡大しているという。
また、この指針は国際民間航空機関(ICAO)の義務規定でもなく、すでに10年以上前に形骸化したガイドラインを引っ張り出して対策と称した点も問題視されている。
西江大学のイ・ドクファン名誉教授(化学)は「航空貨物に適用されている“充電率30%以下”の基準を乗客のモバイルバッテリーにも適用すべきだ」と提案。多くのバッテリーにはLED表示があり、充電率の確認は現実的に可能だとした。
また、全北大学のパク・サンホ教授(化学工学)は「機内に防爆・防炎キャビネットを設置し、異常が発生した際に即座にバッテリーを隔離できる体制の整備が必要」と述べたうえで「充電率の制限だけでは不十分で、出火時の初期対応が可能な実質的な装置が求められる」と指摘した。
パク・サンウ国土交通相は最近、仁川国際空港での視察時、「民間・政府・学界・研究機関などさまざまな分野の専門家と協議し、モバイルバッテリー機内持ち込みに関する安全管理対策を策定する」と明言。
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