
「バリアフリー・キオスク? 義務化されたことも知らなかったし、そもそもどんな機器なのかもよく分かりません」(ソウルのあるカフェオーナー)
韓国で、カフェや飲食店などの自営業者にも、バリアフリーのキオスク(無人注文機)導入が義務化された。キオスクの普及が進む中、障害者や高齢者などが不便なくサービスを利用できるようにするための措置だ。
義務化は1月末から本格的に施行されたが、多くの小規模事業者の間では法規制に関する認識が著しく低い。政府による積極的な広報活動や、小規模事業者がバリアフリー・キオスクを導入しやすくするためのインセンティブが必要だとの声が上がっている。
業界関係者によると、1月28日から常時100人未満の従業員を雇用する小規模事業所にもバリアフリー・キオスクの設置義務が適用されることになった。義務を怠ると最大3000万ウォン(約330万円)の過料が科される。
バリアフリー・キオスクとは、障害者や高齢者ら社会的弱者の利用を考慮し、音声出力、顔認識、手話動画案内、点字ブロックなどの機能を備えたキオスクを指す。
法施行後に新たに設置するキオスクは、必ずバリアフリー機能を備えていなければならず、施行前に設置されたキオスクも2026年1月28日までにバリアフリー・キオスクへ交換する必要がある。
ただし、床面積が50㎡(約15坪)未満の店舗は、補助スタッフを配置することで義務を免除される。床面積50㎡以上、従業員100人未満の事業所には義務が適用されるため、大半の自営業者が対象となる。
この義務化は、2023年に改正された「障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律」施行令による措置だ。カフェや飲食店など多くの事業所が人件費削減や業務効率化のためにキオスクを導入しているが、障害者や高齢者には利用が困難であるという指摘を受けて改正された。
すでに公共機関、教育機関、医療機関、金融機関、福祉施設などでは2024年から義務が適用されており、従業員100人未満の事業所に対しては現場での適用可能性を考慮し、今年から改正案が適用された。
問題は、多くの小規模事業者がバリアフリー・キオスクの概念や義務化について知らないことだ。
実際、中小企業中央会がレストラン、カフェ、ネットカフェなどキオスクを使用する402の事業者を対象に実施した「小規模事業者のキオスク活用現状および政策調査」によると、回答企業の85.6%が改正法の施行を知らなかったと答えている。
全国カフェオーナー協同組合のコ・ジャンス理事長は「ほとんどの店舗オーナーが法律の詳細を知らず、情報を得る手段すらなかった。規制を実施するなら、まず詳細な案内と広報を先行すべきだ」と強調する。
義務化が始まった以上、小規模事業者が負担を軽減しつつバリアフリー・キオスクを導入できるよう、インセンティブを与えるべきだとの意見もある。
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