韓国の統一地方選挙(1日投開票)で保守系与党「国民の力」が「圧勝」し、4年前の雪辱を果たした。政権初期の地方選で与党が勝利するジンクスが再現された。
有権者は、ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権に安定した国政運営を望むと同時に、革新系野党「共に民主党」の政治スタイルと距離を置いたようだ。民主党が地盤とする全羅道の有権者に向けた国民の力のラブコールも、大勝をもたらす原動力になったと考えられる。
◇国民の力、17選挙区のうち10選挙区で勝利の見通し
KBS、MBC、SBSによる共同出口調査は1日の段階で、全国主要17カ所の地方選挙で国民の力が10カ所、民主党が4カ所で勝利する見通しと伝えた。京畿道(キョンギド)知事と大田(テジョン)市長、世宗(セジョン)市長の各選挙は、与野党が接戦を繰り広げた。
今回、「政権序盤の地方選挙=与党圧勝」の公式が改めて確認された。過去の地方選の結果を見れば、キム・デジュン(金大中)政権発足直後の1998年(第2回)、ムン・ジェイン(文在寅)政権2年目の2018年(第7回)で与党が圧勝した。キム・デジュン政権の与党である新政治国民会議・自由民主連合は16選挙区のうち10で勝利した。2018年には民主党は17選挙区のうち14で当選し、完勝した。
今回の国民の力の圧勝は、新政権に対する好意的な意識が反映される「ハネムーン効果」の表れと読み解ける。ユン大統領ら新政権に対する世論の関心が高まるとともに、バイデン米大統領の訪韓や大統領府全面開放などのイベントも重なって、政権与党を肯定的に評価した有権者が増えたと分析できる。最近の政党支持率調査で、国民の力が民主党を大差でリードしている点も、この見解を裏付ける。
◇民主党の戦略失敗…李在明出馬も「悪手」
一方、民主党は、得票率0.73ポイント(24万7077票)の差で惜敗した大統領選の結果を受け入れず、これに対する不服を前面に押し出す戦略で通した。
検察捜査権完全剥奪法の強行採決や、新政権に対する非協力的な態度を取り、同党のパク・ジヒョン共同非常対策委員長は「AIユン・ソンニョル」動画問題を指摘して、ユン大統領の弾劾の可能性にまで言及した。
党の大統領選候補だったイ・ジェミョン(李在明)常任顧問が、地縁もない「仁川(インチョン)桂陽(ケヤン)乙」での国会議員補欠選挙出馬と総括選対委員長を務めたことも裏目に出た。
桂陽乙は、ソン・ヨンギル(宋永吉)前代表が5回当選した選挙区で、ソン氏のソウル市長選出馬により空席になっていた。イ・ジェミョン氏は桂陽乙に地縁がなく、“当選の可能性だけを考えた決定”という指摘を受けた。イ・ジェミョン氏の出馬は地方選を「大統領選挙延長戦」構図に持ち込もうとする民主党の狙いだったが、自らが審判の対象になる悪手になった。
またイ・ジェミョン氏については疑惑捜査が待ち構えており、出馬そのものが“防弾”ではないか、という批判もあった。
加えて、パク・ジヒョン非常対策委員長の「586(80年代入学、60年代生まれ)勇退論」論議と、選挙終盤にイ・ジェミョン顧問が出した金浦空港移転公約をめぐる内紛も、民主党支持層の瓦解に作用した。
今回の選挙の投票率は50.9%で、予想を下回った。中道層はもちろん、民主党支持者の相当数が投票をあきらめた結果だという見方が出ている。
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