2024 年 2月 29日 (木)
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「ショートフォーム」に潜む快楽ホルモン「ドーパミン」の罠…韓国の専門家が「中毒現象」警告

(c)news1

韓国の会社員、キム氏(33)は最近、「ルーティン」(反復的な行動)が一つできた。退勤する時にインスタグラムアプリケーションを削除し、翌日出勤する時に再びインストールすることだ。本人も気づかない「ドーパミング」から抜け出すための特段の措置だ。

キム氏は「昼間は業務のためにSNSを検索しなければならないので、出勤する時にインストールし、家では見ないように退勤時に削除する」と説明した。

ドーパミングは、快楽を感じる時に分泌されるホルモンである「ドーパミン」と、収集するという意味の「ファーミング(Farming)」を合わせた新語だ。ドーパミンは強い刺激、またはいままでのパターンと異なる新たな刺激が入ってくる時により多く分泌される。

キム氏は退勤後、家で休んでいる間にインスタグラムコンテンツを1時間以上見て「ドーパミング」という言葉の実体に気づいたという。「スクロールするとさまざまな映像と文章をすぐに見ることができる。あまりに面白く、シャワーをするのも忘れた。後で調べてみると私がやっていたのが『ドーパミング』だとわかった」

ソウル大学消費者学科のキム・ナンド教授は著書「トレンドコリア2024」で、「ドーパミング」を今年の主要キーワードとして取り上げた。実際、MZ世代(1980年代~2000年代初旬の生まれ)の間でドーパミングが急速に広がる中、専門家は過度なドーパミングはうつ病のような神経精神疾患を招きかねないと警告する。

◇一度見始めると、なかなかやめられない

代表的なドーパミングはユーチューブショーツやインスタグラムリールなど短い映像を含む「ショートフォーム」(短いコンテンツ)を探す行為だ。分量が短く、自分の好みに合った映像が次々に再生され視聴するやり方だ。短い時間に新たな刺激を受けるため、ドーパミンが多量に生成されるという。一度ショートフォームを見始めると、なかなかやめられない理由だ。

テレビを見ながら携帯電話でゲームをしたり、ユーチューブを視聴したりする「マルチタスク」も新たな刺激が加わるという点でドーパミングに分類することもある。

専門家はドーパミングは「中毒」現象に近いと見ている。「ドーパミン中毒」についての医学的定義は存在しないが、次々新たな刺激を求めるため、中毒とも解釈できるということだ。

ソウル大学精神健康医学科のクォン・ジュンス教授は「中毒というのは渇望し続けるという意味。ドーパミンが分泌されれば、以前に感じた快楽を再び得ようとする。ユーチューブショーツに陥るのも短い時間でドーパミンが多量に分泌されるため」と説明した。

◇長時間の持続「良くない」

ドーパミンは砂糖などの食べ物を摂取した時も分泌される。甘い食べ物を食べる行為も一種のドーパミングであるわけだ。たばこを吸ったり薬物を投与する行為も同じだ。

会社員のチェ氏(30)は「食事後、バナナやヨーグルト、お菓子を食べ続ける日がある。意識して食べたわけではないが、ずっと手を伸してしまう」そうだ。会社員のイ氏(33)も「タンフルを家で作って食べるほど中毒状態だ。果物を見れば全部タンフルにしてしまいたいという衝動にかられ、近いうちに実行に移しそうだ」と訴える。

すべての中毒現象がそうであるように、ドーパミングも長期間持続すれば良くない。ドーパミンが過剰に分泌されると、うつ病や統合失調症などの神経精神疾患が生じることがある。集中力が低下したり、記憶力の減退も現れる。

三育(サミュク)大大学院中毒科学科のイ・グムソン教授は「私たちの体には耐性があり、一度刺激を感じれば次にさらに大きな刺激を求める。ドーパミンを継続的に多く作り出すしかなく、その結果、脳細胞が死ぬことになる」と警告した。

イ教授は「例えば、前日ゲームを10時間したとすれば、その翌日には時間を意識的に減らす方式で『デトックス(解毒)』をしなければならない」と助言した。

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