2025 年 9月 17日 (水)
ホーム国際「サンドイッチ論」が現実に…韓国経済、米中に挟まれた苦境

「サンドイッチ論」が現実に…韓国経済、米中に挟まれた苦境 [韓国記者コラム]

IFA2025の中国ハイセンスのブース(c)news1

「日本には追いつけず、中国には追い上げられる」。2007年、韓国サムスン電子のイ・ゴニ(李健熙)会長(当時)が語った「サンドイッチ論」は、韓国経済の立ち位置を象徴する言葉として長く記憶されてきた。

そして2025年9月、ドイツ・ベルリンで開かれた国際コンシューマ・エレクトロニクス展(IFA2025)で、記者はその警鐘が現実になりつつあることを再確認することになった。

イ・ゴニ会長はかつて「これからの20年がさらに心配だ」とも語っていた。18年が過ぎた今、日本は先頭集団から脱落したが、中国はむしろ“巨人”として台頭している。

今回のIFA2025は、ヨーロッパ最大級の家電見本市でありながら、まるで「中国企業の独壇場」のような様相を呈していた。ベルリン・ブランデンブルク空港には中国のTCLの巨大広告が掲げられ、IFA会場の建物には「16年連続グローバル家電ブランド1位」と記された中国・ハイアールの横断幕が風にはためいていた。

ハイセンスは展示ブースの中央にRGBミニLEDテレビを掲げ、「OLEDはもう古い、RGBミニLEDの色彩は次元が違う」と宣言。OLEDを推す韓国サムスン電子やLG電子を真正面から挑発した。

世界トップシェアを誇るロボット掃除機メーカー、ロボロックも基調講演で「今年上半期、米国市場でシェア1位となり、出荷量は前年比65%増加した」と強調。取材が殺到する中で「米国の関税圧力など意に介さない」と言わんばかりの姿勢を見せた。

中国の猛追は今に始まったことではない。10年前から「技術の差はたった1年」と言われ続け、韓国企業は「超格差」で突き放すと宣言してきたが、今や中国は「追撃者」を超えて「追い越す者」へと変貌しつつある。

こうした現実を肌で感じながら帰国の途に就いた矢先、記者は背筋の寒くなる一報を受け取った。米ジョージア州で、現代自動車とLGエネルギーソリューションが進めるバッテリー工場の建設現場に対し、米移民当局が突如として強制捜査を実施し、派遣された韓国人労働者約300人を拘束・収監したというのだ。

これがトランプ米大統領の選挙パフォーマンスによるものか、あるいは韓国政府のビザ問題への対応の甘さが招いたものか、今後の検証を待つ必要がある。しかし一つ明らかなのは、中国リスクを避けて北米市場に活路を見出していた韓国企業が、今また思わぬ“後頭部”を殴られた格好となり、対米ビジネスは冷や水を浴びせられる結果となった。

イ・ゴニ会長が懸念していた「これからの20年」が終わる前に、韓国経済は「第2のサンドイッチ論」とも言える苦境に直面している。上には米国の地政学的不確実性、下には規制強化の連鎖、そしてその狭間を突き進む中国の産業的勃興――。

韓国経済の立ち位置は、今まさに“板挟み”という言葉がふさわしい。グローバル市場での存在感を守るためには、国家戦略、産業政策、外交のいずれにおいても抜本的な再設計が求められている。【news1 チェ・ドンヒョン記者】

(c)news1

RELATED ARTICLES

Most Popular